ひとり日和
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- 作者: 青山七恵
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作者は私より4つ年上か。同世代、といってよいと思う。まさに若い女性の感性、という感じで、ああ、あるある、というように内容も描写も納得できるものだった。逆に言えば、意外性というか、自分にとって新鮮に感じられる部分がないので、少し退屈だった。やっぱり私は、この人は一体何なんだろう、と思わされるような突き放された感覚、非現実に向かっていくような感覚がありながら、誰しもが感じるであろうこと、真理が含まれていて、否応なく共感していってしまう、というような小説に魅力を感じる。この作品は、予想・想像のできる、皆の日常の延長線上の風景をうまく切り取っていく、というもので、描かれた世界に「今」を感じた。芥川賞は、現代を象徴するものがふさわしいのだろうから、受賞はなるほど、と思った。簡素で読みやすく、透明感ある文体は、幼さはあるが、若く瑞々しいときっと評価されているのだろうな、と思った。ただ、簡素で読みやすく、透明感ある文体、というと吉本ばななが思い浮かぶのだけれど、彼女の「キッチン」で感じたような、比類ない感受性の豊かさ、そっと五感に訴えかける柔らかで的確な表現力は、ここにはなかった。そう思うと、文章を書くことは、なんでもないことのようでありながら、なんて難しいことなのだろう、と思った。同じ言葉を使いながら、どんな世界が広がっていくかは、描く者によって異なり、また読む者によっても異なるのである。言葉で広がる無限の世界を思う。